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上写真は明和電機アトリエです。今年の夏もいろんなワークショップを開催します。まずは「チワワ笛」と「ベロミン」を作るワークショップ。いよいよ〆切が明日の月曜日となりました。先着制ですので、ご希望の方はお早めに(残りわずか!)。
>ワークショップの詳細はこちら!!
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で、今週末はなぜか三日間連続でいろんな工場へ行く機会がありました。それぞれ個性的な現場だったので、ご紹介します!
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■京都造形芸術大学 ウルトラファクトリー 7月22日(木)
まずはヤノベケンジ氏のいる京都造形芸術大学のウルトラファクトリー。ここは学部の垣根を越えて、実技講習に合格したものだけが使えるという、大学工房。エリートだな。いつも、いくつかの作家のプロジェクトが進んでおり、それに興味がある生徒が参加。プロのモノ作りの現場を体験できる、というのがよい。
いつも活気があるので、行くと元気になります。真夏でもクーラーが効いているのはうらやましい。管理体制もしっかりしているので、片付いています。
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■ブリヂストンサイクル 上尾工場(埼玉県) 7月23日(金)
X2TOKYOの取材で、自転車を作るブリヂストンサイクルの上尾工場に行ってきました。国内でも珍しい、ママチャリからスポーツタイプまでを作る工場です。自転車の生産はほとんど中国に移行する中での国内生産、という点も珍しいそうです。
行ってみて思いましたが、自転車というのはとてもシンプルな装置。部品数が少ないけれど、そこに人間の思いもかけない負荷がかかる。自転車と比較すると、車は「ざっくりとした箱にタイヤがついたもの」で、自動溶接でバンバン組み立てて、多少の荒くてもインテリアで隠せるが、自転車はそうはいかない。
なので、見えてしまう溶接など、どうしても人間がやらないと丈夫できれいにできない。つまり、工業製品のようで、ハンドメイドなんですね。すいませんでした。これまでぞんざいに扱ってきて・・・。
見たことがない専用工作機械や冶具がたくさんあって、おもしろかった!専門性に特化したモノ作りの現場って、機械や工具に歴史が刻まれてるので、見ていて飽きません。
>>USTREAM 動画はこちら!
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■金沢工業大学 夢考房 7月24日(土)
金沢工業大学の夢考房は、ウルトラファクトリーと似ていて、学部を越えてプロジェクトをいつもおこなっている、工房です。ソーラーカー、鳥人間コンテスト、ロボコンなどのマシンを、チームごとに開発しています。
ここがすばらしいのは、管理体制。たとえば工具の貸出や材料の購入などが行き届いていて、びっちり片付いている。美術大学なんて、ひどいですよ。「貸した工具がかえってこない」って、いつも助手さん、泣いてますからね。おもけに材料もほったらかし。「え?ここはゴミ廃棄場?」ってくらい、エライことになってたりします。
そして安全管理も徹底しています。工作機械は刃物が高速回転してたりするので、基本はすべて「危険なもの」です。それを使ってモノを作るというのは、「どうやったら危ないか、事故が起こるか?」をしらなければならない。夢考房では、マイスター制にしていて、技能取得を生徒だけが使えるようになっています。そしてそれでも事故が起こった場合、「ヒヤリハット」という報告書で、それをみんなで共有する。
工房に、生徒が操作ミスで壊した工具が、「一個四万円」とか値段がはっつけて展示してありました。これはとても正しい。工具はトイレットペーパーみたいな共有財だから雑に扱ってもいいと思ってる生徒も「お前が壊した四万円~」とみんなのさらしものになりますからね。
とにかく掃除が行き届いていて、ピッカピカ。それはなぜできてるかというと、先輩が後輩に代々指導してるからなんですね。「おまえらちゃんと掃除しろ!」と。先生や技官さんじゃなくて。これが一番大事なことだと思いました。
いいモノは、いい現場が作る。そしていい現場にする方法は知識では伝わらなくて、人間が人間に体で伝えていくもの。この三日間で見た工場には、そんなオーラが満ちていて、爽快でした。
好きだなー。工場。