「モノを作って、売って、暮す」
大昔から人が行っているシンプルなことですが、これを独立したクリエイターとして実現するのは簡単ではありません。
僕は美術大学出身なので周りには芸術家になりたいというクリエイターの卵がたくさんいました。また明和電機はソニー・ミュージックエンターテインメント、吉本興業に所属していたので、ミュージシャンやお笑い芸人を目指す人もたくさんいました。みなさん自分の才能で食っていくクリエイターを目指していましたが、100%自分が生み出したものだけで暮らしていける人はほんの一握りでした。多くの場合、それとは別な仕事で得た収入で暮らしをおぎなっていました。
なぜクリエイターにとってむずかしいのでしょうか?そのことを理解するために、給料をもらう仕事をしているひとをざっくりと「サラリーマン(給料をもらうひと)」、自分が作ったものを自分で売る人を「クリエイター」と定義して比較してみます。
サラリーマンが作るものは「会社が考えたもの」です。たとえば家電メーカーに就職すれば、会社が考えた家電やサービスを作ります。社内デザイナーや社内エンジニアも「自分が考えたもの」を作りますが、その課題は会社から与えられたものであり、会社の方針からはずれたものは作れません。そして作るための環境(機材や空間、人員)も会社のものなので、そのことを心配せずに作ることができます。
また、会社は「モノを売るプロフェッショナルな組織」なので、作ったものを売るためのマーケティングを行い、お得意さんや、宣伝の経費などを持っています。サラリーマンはそうした基盤をもとに計画的に売ります。
一方クリエイターが作るモノとは、「自分が考えたもの」です。たとえば芸術家の場合、それは自分の内なるインスピレーションから湧き出たものであり、極端な場合、それは他人が理解できないモノだったりします。ここが問題で、他人が理解できないものは、価値が伝わらないのでとても売りにくいのです。理解しにくい部分をうまく大衆にむけて翻訳できなければ「なんだか難しい商品」となって売れません。(現代美術の市場では、難解さというものも一種の商品価値になりますが、それもそれを説明できる画商の力量あってのことです。)
また独立したクリエイターは個人事業主(フリーランス)なので、自分が作ったものを自分で売らなければなりません。作ることが一番やりたいクリエイターにとって、これは大変な作業です。そのため画家やミュージシャンや小説家など、クリエイターは「売る」仕事を画廊やレコード会社や出版社という外部にお願いすることがあります。しかし、そのときも、自分の作ったもののすばらしさを「売り込む」必要があります。一発でOK、契約しましょう、となることはほんの一握りの才能がある人で、多くは何度も作品を作り、プレゼンしなければなりません。
独立したクリエイターの作業の50%は「売る」作業、といってもいいくらいです。作ることだけに専念したい方は、むしろ会社にいたほうが実現できます。売ることがにがてだ、やりたくない・・と思う方は、独立したクリエイターには向いていません。
そしてもうひとつ、大きな問題は「出費」です。
クリエイターがモノつくるとき、「材料費、機材費、作業場所の家賃」などの出費があります。人に作業をお願いする場合は人件費も発生します。そしてモノを作っている時間は、考えている時間も含め、まったく収入がありません。
一方サラリーマンは、モノつくっているときにも給料が入ります。自分の知能労働、肉体労働を会社に売り、ときには作りたくないものも作るので、これは当然です。
よく脱サラをして独立したクリエイターの方がぶつかる壁はここです。会社にいたときよりもいきなり出費が増える。しかも売る作業にも時間をとられる。そんな条件下なのに前よりも稼がなけばならない。どうやっても無理だ、暮らしていけない・・・となります。
なんだかクリエイターの暗い話ばかりになりましたが、良い面もたくさんあります。まず「自分が作りたいものを作れる」という自由さです。これは楽しい作業であり、まったくストレスがありません。
また、「他人が理解しにくいもの」とは「ナンセンス(超常識)」なものであり、いままでになかった「新しい価値」でもあります。もしそれを大衆が理解したときには競合するものがないので、爆発的に売れます。クリエイターはそれを自分が売っているのですから、会社経由とちがってマージンを取られることがなく、総取りになります。
「作ること」と「作り続けること」は大きくちがいます。作ったものを商品として売り、そこで得た収入で日々を暮らし、その時間の中で次の作るもののアイデアを練り上げ、次なる新作を作る、というのが「作り続けること」であり、これはクリエーションのサイクル(上図)を回し続けることです。
クリエイターがこのサイクルを回し続ける方法にはいろんなパターンがあると思います。100%自分の努力でサイクルを回す人、足りない分のエネルギー(お金)は別な仕事でおぎなう人、サイクルをチームを組んで実現する人・・など多様です。
「明和電機 超!技能訓練所」の関連企画の「クリエイター対談」では、10名のまったくパターンのちがうクリエイターの方にお越しいただき、そのみなさんがどのような方法で「モノを作って 売って 暮す」ということを実現しているのか、明和電機社長がじっくりお聞きします。
これからクリエイターを目指す方、クリエイターという生き方に興味のある方など、ぜひぜひご来場ください。
■開催日:2019年7月20.21日、27日
8月10.11.12日、17.18日、24.25日
■開催場所:ラジオデパート6階
■参加費:各回1500円
■参加方法:明和電機STORESから>https://maywadenki.stores.jp/
対談するクリエイターのみなさんのご紹介
土佐正道(明和電機会長)
「シンセから はじめて今は 笛作り」
クリエイター対談の一発目は、明和電機会長。実兄です。兄ちゃんです。兄ちゃんの楽器歴は長く、中学のブラスバンドでユーフォニウムやトロンボーンを吹き始め、高校でバンドを始めてベースを弾きはじめましたが、一方でシンセサイザーにどはまりしました。時代はニューウェーブということもあり、家族から「アンタきちがいになるで」と言われながらも、朝から晩までYMOのシンセサウンドを聞き続けていました。大学のときは弟の僕と「TOSA」というユニットを組んで、当時YAHAMAが売り出したばかりの打ち込みができるコンピューターとシンセで曲を作り、POPCONに出場してたりしました。「テクノ兄弟」とか言われました。
しかし1993年に明和電機を始めるときは、アナログシンセサイザーの貴重なコレクションを涙を流しながら売りさばき、そのお金で明和電機の電動楽器を作りました。そして2000年に定年退職後は、タミヤと組んで「楽しい工作シリーズ」を使って、モーター駆動のおもしろ楽器を作りはじめました。そして最近では、電動からもはなれ、お菓子の空き箱などで「笛」を作ることに凝っています。
「シンセサイザーを突き詰めると、空き箱で笛を作るようになる・・・。」なんだか遠い関係のように見えますが、両者に共通しているのは「パラメーターをいじくると音色が変わる」ということです。一方はそれを電子で、もう一方はそれを紙細工という物理的な方法で行います。兄ちゃんが一貫して探求しているのは、こうした楽器の音の面白さなんだろうなあ、と思います。深いです。
今現在、普段は会社員としてはたらきながら、余暇の時間を自宅で楽器作りの研究にそそぎこんでいるようです(家のリビングから隣の作業部屋へ行くことを「出勤」というらしいです)。まったく欲がなく、作った楽器でもうけようとか、いっちょ紅白に出たろうかとか、一切考えてないように見えます。俗世からは超越した場所におるのう・・仙人みたいじゃのう・・・と弟ながらいつも思います。
のっけから「モノを作って 売って 暮す」という、今回のクリエイター対談のテーマからもっともっと遠い世界にいる会長。トークショーではとくにテーマはもうけず、「・・・で、最近どうなん?」という話を聞こうと思います。
土佐正道会長のトーク対談の参加希望の方は>完売となりました。
伊藤尚未さん
「工作も メディアアートも はんだ付け」
メディア・アートが「メディア・アートで町おこし!」とか「メディア・アートで健康になろう!」など一般化したこのごろ。80年代ごろ、メディア・アートという分野は「テクノロジーアート」とか「ハイテクノロジーアート」と呼ばれていました。
僕が筑波大学の総合造形というコースに入学したころは、まさに「テクノロジーアート」が盛んで、僕が一年生のときには伊藤尚未パイセンは大学院生で、光と音を使った作品でテクノロジーアートのコンテストでグランプリを受賞するなど、バリバリ活躍していました。
その後、伊藤パイセンは2001年からは雑誌「子供の科学」で、テクノロジーアートで培ったノウハウを「子供が作れるレベル」まで落とし込み、電子工作をして連載を開始しました。以後、さまざま電子工作の本の出版やワークショップを各地で開催しています。伊藤パイセンの電子工作本を見ると、まさに現代のメディアートでも登場するネタを無駄のない設計で紹介していて、さすが!と思います。
筑波大生の基質を端的に言うと、「おかしなことをくそまじめにやる」ですが、伊藤パイセンもそんな感じで、アートというおかしな世界に足をつっこみながら、もう一方では、きちんとそれを子供が理解できる部分まで噛み砕き、本まで出してます。
(ちなみに、もっと上の先輩の岩井俊雄パイセンも、後輩のパンタグラフの井上くんも、絵本作家のヨシタケシンスケくんも、みんなおかしなことをくそまじめに描いた「本」を出してます。もと教育大だから?)
最近はメディアアートも、STEAM教育のような子供を対象にしたテクノロジー教育も盛んですが、それが流行るはるか前から伊藤パイセンはそれを行ってきました。そしてその伊藤さんを創造の基礎になったのが筑波大学の総合造形のカリキュラムであり、その基礎をたどればドイツのバウハウスまでたどりつきます。トーク対談では、そんなメディアアートの歴史に触れつつ、伊藤さんが最近の傾向をどういうふうに見てるのか?そしてパイセンとして後輩の明和電機をどうとらえてるんだろう・・などのお話をお聞きしようと思います。
伊藤尚未さんのトーク対談の参加希望の方は>こちら
藤原麻里菜さん
「無駄作り 量を作れば 質になる 」
藤原さんはもともと吉本の芸人をめざし、よしもとのお笑いの学校に行ってました。フリーメーソンをテーマにしたネタをピンでやったりしてたそうです。その後、吉本のプロジェクトでYOUTUBEでなんかやる芸人さんの募集があったとき、「毎日へんなものを作ってアップします!」と企画を出したそうです。それまでモノ作りなんてやったことがないにもかかわらず。
しかし、それがいまでは「無駄づくり」という人気コンテンツになり、いろんな企業とタイアップしたり、本を出したり、台湾で個展を開いたりするまでになっています。
藤原さんがすごいなあ、と思うのは、とにかく「数を作っている」ということです。これは僕の解釈ですが、「質より量」ということわざは、量をつくれば、そこからやがて質が生まれるんですよ、そのくらい作りなさいよ、とういことだと思います。まさに藤原さんがそれ。若い人にありがちな、「考えすぎて、手がうごかない」のではなく、ガンガン作ってます。それによって技術力もどんどんあがっている。
藤原さんにあっていつも思うのは「文学少女だなあ」ということです。藤原さんがなんの本を読んでるのか、そもそも本を読んでるのかも知りませんが、うっすらと醸し出す、自分の内面世界を見つめている感じがそう思わせるのです。僕はそこになんとも言えない「怖さ」を感じてしまい、合うたびにビクビクしてしまいます。バイバイワールドの高橋くんも「ぼくも怖い」と言ってました。
藤原さんは一方で、ベースギターがうまいです。なんどか僕はドラムでセッションをしたことがありますが、そんなときは「あ、怖い人じゃなかった」と、コミュニケーションできた喜びがあります。
トーク対談では、藤原さんの作品を紹介していただきつつ、明和電機の所属していた吉本興業というマネージメントの会社との付き合い方や、セルフマネージメントのポイントなどをお聞きしようと思います。時間があれば、楽器でセッションもやりたいです。
藤原麻里菜さんのトーク対談の参加希望の方は>こちら
高橋征資さん(バイバイワールド株式会社)
「変態と 理性が生んだ モノ作り」
僕が高橋くんに初めてあったのは2007年。彼が慶応の院生として藤沢キャンパスの薄暗い研究室で「ウンチのような、ウネウネ動く機械」を作っていたときでした。そのころ僕は「バカロボ」という、人を笑わせるロボットのコンテストをプロデュースしていて、その出場者である彼にインタビューに行っていたのでした。
そのときの高橋くんの印象は「こんなイケメンで頭のいい人が、なぜこんな変態なモノを作っているのか」でした。この「変態」というキーワードは、ずっと高橋くんのまわりにいまも漂っています。さらに彼の弟も変態な機械を作っており、「兄弟で変態か。土佐家と一緒だな」という、妙な親近感があります。
しかし一方で、高橋くんはビジネスマンでもあります。「変態」な研究から生まれた「音手(おんず)」という拍手マシーンはやがてマスプロダクトである「ビッグクラッピー」へとブラッシュアップされ、国内外で販売、さまざな企業とタイアップを行っています。そしてプロジェクトを実現するための会社「バイバイワールド」では、社長として経営もおこない、ソフトバンクや吉本興業などの大企業と仕事をしています。
「自分の考えたモノを作って 売って 暮す」という点で、高橋くんはその達成例であると思います。そしてその中心には「変態」をコントロールする「理性」があります。僕もそういう面があるので、「わかるわー」といつも思います。
トークショーではそんな「変態」と「理性」のせめぎあいのお話を聞きつつ、一方でテクノロジーを使ったエンターテインメントビジネスの未来についてお話を聞こうと思います。
バイバイワールド高橋征資さんのトーク対談の参加希望の方は>こちら
ザリガニワークス
「ボツからの V字回復 新基軸」
今から20年ほど前。ザリガニワークスの武笠くんは、かつてオタマトーンを作っている㈱キューブの社員でした。そのころ、明和電機の担当として「ビットマン」「ジホッチ」「ガチャコン」などのおもしろメカ系トイを一緒に作っていました。
その一方で武笠くんは「太郎商店」という屋号で、おかしなグッズもいろいろ作ってデザフェスで売っていました。秋葉原のラジオスーパーの㈱キューブさんのコーナーで売っている「自爆ボタン」の原型は、すでにそのときありました。その後武笠くんは大学の先輩である坂本嘉種さんとタッグを組み、2004年には脱サラして「ザリガニワークス」を設立、コレジャナイロボをはじめとして、数々のキャラクターや映像、オモチャをプロデュースしています。
コレジャナイロボのコンセプトを最初に聞いたときは、大爆笑しました。「おとうさんが息子の誕生日プレゼントでロボットのおもちゃをあげようと思ったが貧乏でお金がなく、一生懸命手作りでロボットを作って子供に渡したら、”これじゃない!!”と息子が泣きながら床にたたきつけた・・・そんなロボットです。」
普通に考えたら、そんなロボットを作っても売れない。ボツアイデアです。しかしザリガニワークスさんの作品には、「ほんとうにそれはボツでしょうか?ほら、よくみたらおもしろくないですか?ほら、だんだんおもしろくなってきたでしょう!」という。「ボツからのV字回復」な説得力があります。これはその後の土下座ストラップを最初に見たときの「顔が見えないフィギュアはボツでしょう!・・・いや、ありかも!」とか、ごはん怪獣のバップを最初に見たときの「TVでこのゆるさはボツでしょう!・・・いや、ありかも!」など、この「ボツからのV字回復」を感じました。それは納豆やパクチーのように「最初はダメだったのに好きになったらやみつき♡」な中毒性があります。
いうなればザリガニワークスさんは、この独自の視点を武器にしてビジネスをしているクリエイターです。その視点にクライアントとかメーカーさんもやみつきになり、商品を作っています。トークショーでザリガニワークスさんのお仕事を紹介していただきつつ、「自分が作りたいものを、クライアント仕事の中で、いかに組み込んでいくのか」というノウハウをたっぷりお聞きしようと思います。
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伊豆見香苗
「LINEにて スタンプ作って ハイジャンプ」
「ああー、LINEスタンプで一発あてて、ドンとお金が入ってこないかなー」と、あなたは一度は考えたことがあるでしょう?僕はあります。
そんなことは夢のまた夢、と思っていましたが、なんと身近な人がそうなりました。それが伊豆見さんです。動くLINEスタンプで、いま、大人気のイラストレーター、アニメーターです。LINEの動くスタンプ部門の月間ダウンロード数で1位になりました。
伊豆見さんと出会ったのは今から5年前。明和電機のアルバイトとして作業の手伝いでアトリエに来ました。当時はまだ美術大学の学生で、アニメーションの勉強をしていました。映像が専攻でイラストが得意でしたが、明和電機で工作機械を使った金属加工などをお願いすると、畑違いでしたが作業の飲み込みも早く、ひそかに「アニメをやめさせて明和電機の機械工作をしこんでやろう。いひひ」と計画していました。でも結果的にアニメでLINEで大当たりしたので、計画を実現しなくてよかったです。あやうく才能の芽をつんでしまうとこでした。
一言でアニメーションといっても、いろんなものがあります。10年かけて作るようなアートアニメーションもあれば、萌キャラが活躍するテレビアニメもあったり、CMのような短いものもあります。そんな中で伊豆見さんがみつけた金脈は、LINEのスタンプという、「とても小さく」「とても短い」アニメーションでした。
クリエイターにはひとそれぞれ得意な表現のスケールがありますが伊豆見さんは、LINEスタンプのスケールがピタリとはまったのだと思います。
トークショーでは、そんな大ヒットに至るまでのプロセスや、「キャラクタービジネス」というものを体感した感想などをお聞きしたいと思います。
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井上仁行さん(パンタグラフ)
「人生も 仕事もコツコツ コマ撮りで 」
井上くんはとにかく工作がうまい。筑波大学の後輩ですが当時から「いつかスターウォーズのようなコマ撮りアニメが撮ってみたい」といってましたが、まさにそれを実現し、GoogleなどのクライアントのCMを工作を駆使した立体アニメを作っています。
かつては明和電機が所属していたソニー・ミュージックエンタテインメントで働いていたこともあり、明和電機の「魚立琴基地」や「超合金明和電機」などの造形を手がけました。
絵本作家のヨシタケシンスケくんは井上くんの同級生で、彼と二人で1998年に「パンタグラフ」という会社を設立しました。そのときまわりの同期のクリエイターたちをあっといわせたのが、会社の工作スペースやギャラリーのある「自社ビル」を建てたことでした。
筑波大生の特徴である「おかしなものをくそまじめに作る」という、くそまじめさが自社ビルに結集したようで、「さすが・・・」と賞賛の目で僕も見つめた思い出があります。ソニー・ミュージックエンタテインメントから吉本興業へ移籍する間のブランクでは、そんな井上くんのビルの一部に明和電機のファンクラブの電話をおかせてもらったこともあり大変お世話になりました。
その後も「造形工作アイデアノート」などの本も3冊も出し、さすがもと教育大!という筑波大生っぷりを発揮しています。
トークショーでは、そうしたクリエーションを持続的に仕事にしていくノウハウや、時間がない中でクライアントの要求をビジュアルとして立体化していく工作術など、パンタグラフの「秘技」をいろいろお聞きしようと思います。
パンタグラフ井上仁行さんのトーク対談の参加希望の方は>こちら
ギャル電 (きょうこさん まおさん)
「勢いで 盛りますメイクと テクノロジー」
「ヤンキーと電飾」。これは日本の伝統文化で、明和電機もバリバリモードのときに武田丸のような楽器で探求しました。ギャル電さんはそこに「ギャル文化」というのをぶっこんできました。きた!これ!と思いました。
そもそもお二人の経歴がおかしい。まおさんはタイ育ちで、学生のときに日本のギャル文化にあこがれ、ネットや雑誌で情報を収集、タイという異国でひとり、ギャルメイクやギャルファッションをしてネットで発信していたそうです。いま工学系の大学院生として研究をしています。そしてきょうこさんは内向的な性格を矯正するのはポールダンスだろうと、いきなりそちらの世界に飛び込み(このチョイスからおかしい)、ギャル文化がより広がるには、テクノロジーをヤンキー感覚のように取り入れるべきだとひらめき、まおさんと意気投合してギャル電を作ったそうです。
ギャル電がつくるさまざまな工作の現物を見るといつも「すげえ!勢いで作っている!」と思います。ガムテープ、グルーガンなどが「こんなかんじじゃね?」という決断のもとで部品をつないでいます。LEDもそれを制御する電子基板も「イケてない?」という感覚のもと選択されています。
このファッション的なノリ一発でテクノロジーを使っているのがとても面白く、理屈で頭がこりかたまった理系男子がびっくりする様がおもしろい。
トークショーではギャル電が作った数々のアイテムを紹介してもらいつつ、ギャル電の理想「テクノロジーを使って当たりまえにギャルが盛りを実現していく世界」で、そこにむかう伝道師として歩んでいる。その大いなる理想をお聞きしたいと思います。
ギャル電さんのトーク対談の参加希望の方は>こちら
マタタビ屋
「本業の 裏ではじける クリエーション 」
マタタビ屋のリーダーの岡田くんは、普段は某有名自動車メーカーの関連会社で、粘土削って車の原寸モデルをつくり上げるという、プロフェッショナルな仕事をしています。とにかく超人的に手先が器用で、彼が作るドクロの指輪など、その内面に1mmほどのドクロがびっしり造形されていて「ひょえーー!」となったりします。車の仕事以外にも原型師として、映画の怪獣やロボットのフィギュアの原型を作ったりしています。
頭ではなく手で考える、というタイプです。江戸っ子ではないはずですが、なんだか江戸っ子のような気風の良さがあり、「べらんめえ、つべこべいう前に、手をうごして作ってしまえ」という、気持ちよさがあります。
今では、会社内で役職もあがり、家庭を持って子供もでき、さまざな責任が暮らしの中に生まれていると思います。そんな中でもモノ作りをやめず、デザフェスやラジオスーパーに出品するエネルギーを持っています。
いまは、多くのひとがクリエーターを目指し、作品を作り、ネットで発表できるようになりました。トークショーでは、岡田くんにそんな「暮らし」とクリエーションをどうつなげていくのかを聞きしようと思います。ある意味、もっとも多くの人が抱えている問題意識に近いのかな、と思います。
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TASKO
「難題も 技能を集めて それ突破」
TASKOの社長の田井地くんは、かつて吉本興業で明和電機のマネージャーをしていました。そして2012年に脱サラし、明和電機を卒業した工員さんをコアメンバーにしてTASKOを設立しました。いまでは社員も増え、さまざまな大型クライアントと仕事をする会社へと成長し、ときどき明和電機にも仕事をくれます。ありがとうございます。
明和電機の工員さんはこれまでほぼ3年スパンで入れ替わってきました。みなさんそれぞれクリエイターになりたい!という思いがある人たちなので、明和電機での経験を生かし、自分の技能を磨いて、それぞれの道を歩んでいます。TASKOがユニークなのは、そんな技能のある人たちが集まった「技能集団」であることです。
世の中には「こんなものが作りたい!」という漠然としたイメージを持っている人がいます。それが会社だったりすると、「イメージがあるけど、どうやって作っていいかわからない」となり、TASKOの出番となります。TASKOのそれぞれの技能者がプロジェクトの目的のもとに有機的につながって、期限と予算の制限のもと、作品をつくりあげます。それは中世のギルドのようです。
これからの未来は、ネットワークによって一人の個人の技能をつなぐことで、大きな仕事をすることが可能になって行くでしょう。それはこれまで会社という組織が作ってきた縦割り、囲い込みといった集団とはちがう、新しいタイプの創造システムです。
TASKOさんとのトークでは、「モノを作って 売って 暮らす」というクリエイターの営みを、チームを組むことで成し遂げる、そのしくみや、苦労についてお聞きしようと思います。
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■超!技能訓練所の概要はこちら>https://www.maywadenki.com/news/radio-ws/
■明和電機
明和電機の行うワークショプの一覧はこちら>
https://www.maywadenki.com/news/radio-ws-maywadenki
■伊藤尚未、伊豆見香苗、ギャル電、ザリガニワークス、土佐正道、バイバイワールド、パンタグラフ、藤原麻里菜、マタタビ屋、necobit、Qux、㈱TASKO
アーティストごとのワークショップ詳細はこちら>
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■お申し込みは明和電機STORESにて> https://maywadenki.stores.jp/