現在、代官山で開催されている「代官山アートストリート」に、明和電機×バイバイワールドが開発した、ひっぱたく装置「ザ・スパンカーズ」が出展されています。
トヨタの新型車「AURIS」にとりつけられた「ザ・スパンカーズ」を、コンピューター制御によって動かし、車を楽器にしてしまおうという試みです。まずは動画をごらんください。
この開発は、バイバイワールドの高橋くんから、「社長、車をモチーフにしたアートプロジェクトががあるんですが、興味あります?」という電話からスタートしました。
以前から、車に100ボルトでノックする装置「ノッカー」をとりつけ、車をバカスカ叩いて楽器にしたら面白いだろうと思っていたので、すぐに「やる!やります!」と返答しました。
ちなみに、工業製品をバカスカたたいて楽器にする、という試みは、一度「本」でやってことがありました。現在、日本科学未来館には、オライリー社の本をコンピューター制御でたたいて楽器にする「本琴」という明和電機の展示がありますが、考え方はこれと同じです。
このお話をいただいたバイバイワールドの高橋くんは、以前から「肉」のもつ質感が人間に与える感覚をモチーフにした奇妙なマシンを開発していました。その中の最新作、音手(おんず)は、物理的に人間の手を再現し、空気圧制御で「拍手」の音を作り出す装置でした。
プロジェクトについて高橋くんとブレストをしていたときに、「この拍手マシンと明和電機のノッカーを合体させたら、おもしろいにちがいない!」とひらめき、今回の製品開発へとつながりました。
しかし、開発を進める中、「まてよ。これをとりつけるのは、トヨタの新型車だよな。はたしてそんな大事なモノをばかすか叩いていいんだろうか・・?」という疑念が頭に浮かび、高橋くんと「いいんかな?いいんかな?」と見つめあっていたんですが、このAURISという車のテーマである
「常識に尻(けつ)をむけろ」
という言葉に「いいにしよう」ということになりました。
そして迎えたイベント初日のオープニング式典。テープカットには高橋君も参加。(なんというあやしい写真)。
会場には「AURIS」を作ったイベント主催者であるトヨタのみなさんもご来場されています。それを見ると、ふたたび「いいんかな?いいんかな?」と高橋くんと見つめあうことになったのですが、もう取り返しはつきません。
いよいよお披露目タイム。車を覆っていた赤いシートを「ばさっ!!」と取ると、そこには全身にひっぱたく装置をつけた、AURIS。
「・・・もしかして、この状況って、トヨタのみなさんにとって ”大事な娘になんというはずかしめをおおおお!!” みたいなことになってないか?」
とビビったんですが、常識に尻(けつ)を向け終えてしまってるのでしかたありません。スイッチオンです。高橋くんから型どった、妙になまめかしいウレタン製の手が「コッツコッコツ」とひっぱたき始めました。
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その日の夕方、オープニングパーティーでトヨタのみなさんにお会いしました。みなさん笑顔で「おもしろい!」と言ってくださり、高橋くんと「いかったね、いかったね」と胸をなでおろしました。
ザ・スパンカーズの展示は26日(日)まで。「代官山アートストリート」では、さまざまなアートイベントやライブも同時開催されています。
また、26日には、オープンリールアンサンブルさんとのコラボライブ(観覧無料)もありますので、ぜひみなさん、おこしください!
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