みなさんはCGMってご存じ?「コンシューマー ジェネレイティッド メディア<Consumer Generated Media>」の略で、日本語で言うと、「消費者生成メディア」。これまでの大企業がPR力や流通力を使って消費者を上から目線で巻きこんでいったメディアではなく、消費者側が自発的(または無自覚な外部からの自発的コントロール)によって作られるメディアです。
とにかくインターネットにおけるブログやSNSなどの登場で、「口コミ」という情報の伝達がこの新しいメディアを加速させました。
インターネット以前だと、たとえば僕が小学校のころにはやった「改造ガンプラ」なんかも、ちょっとした「消費者生成メディア CGM」でした。最初は趣味のみなさんの間で盛り上がっていって、その後、ホビージャパンという”雑誌メディア”がそれを取り上げさらにブーム。僕も作りましたよー、改造オリジナルGM。あまりにうれしくて枕元に置いて寝ましたね。もしあのときブログがあったら、「ボクはこんな改造をした!」って写真を載せて、オリジナルストーリーなんか考えちゃったりしてたかも。
ただ、ガンプラは工業生産品で個人では大量生産が無理。そこへバンダイさんが登場して改造ガンダムをほんとうに量産するようになって、CGMではなく、現在のガンプラ王国ができあがっていきました。
現在のCGMでは、工業製品ではなく「情報製品」を主とし、コンピューターという強力な「通信機&加工機&複製機」によって、個人が新しい情報を生みだし、量産し、流布させるようになっています。料理ブログやファッションブログ、さまざまな投稿サイトなど、大企業がなかなかコントロールしにくいフィールドで盛り上がっています。
さて、「ストレンジボイス」という現象を見るとき、このCGMのことはかかせません。そもそも僕が「ストレンジボイス」を思いついたのも、
1 初音ミクがニコ動で盛り上がっている
2 ヒューマンビートボックスがYOUTUBEで盛り上がってる
3 オタマトーンの演奏映像がYOUTUBEで盛り上がってる
というのをおもしろいなー!と見ていたからです。こうした動画投稿サイトによって盛り上がるCGMがなければ、これらのストレンジボイスを聞くことはなかったでしょう。
なので、自分でも注意して分けて考えなければならないなー、と思ったのは
①声の楽器へのメカニックな興味という「演奏者側の視点」
②CGMという「鑑賞者側の視点」
がストレンジボイスというテーマには共存しているということ。これは切っても切れない関係だけど、論点としてまったく違う。僕は発想の出発の時点では「①」の視点しかなかったけれど、取材を重ねると、②の問題の重要性を痛感。
後藤先生に音楽情報処理のお話をお聞きしたとき、「これからは音楽を聞くリスナー側が、情報技術によって、能動的に音楽を鑑賞するようになるでしょう」 とおっしゃってました。そういう潮流のクロスポイントとして、「声(ボイス)」というのは、カルチャー的にも技術的にも面白い場所なのでしょう。
【ストレンジボイス/memo 000】 ストレンジボイス イベントの概要
【ストレンジボイス/memo 001】 音楽情報処理研究ってなに?