OP-1 これはかわいい!シンセサイザー!

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もはや恒例となりました、ロンドンのRCA(ロイヤルカレッジオブアート)の学生さんたちの
明和電機アトリエ見学ツアー。今年も20人ばかしのみなさんがやってきました。インターナショナルな”はとバス”だね。今年は「声の機械」を中心に製品を紹介、質疑応答でもりあがりました。

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今年は、RCA卒業生でアーティストのユーリ君も引率で久しぶりにアトリエに。会うなり「土佐さん、面白いもの持ってきましたよ!」というので、なになに~、と興味深々。ユーリ君がおもむろにカバンが取り出したものは・・・

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これだあ!スウェーデンの明和電機、「teenage engineering 社」が作ったシンセサイザー、「OP-1」。ぎゃああ、かわいいー! 写真ではわかりにくいが、ボディはアルミの削り出しの重厚さ。なのにコンソールはキュート。そして・・

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ファンクションがいちいち可笑しい。たとえば上写真は、音色にフィルターをかけるエフェクトの画面なんだが・・・なんでボクサー?ラウンドがあがって音色が変わるにつれ、ボクサーも疲れてきて肩で息をしはじめるし・・。

その他、DTMマニアにたまらないツボが満載。ラジオの音声をサンプリングしたり、MTRを思い出す録音機能だったり、はたまたサウンド系のメディアアートのようなマニピュレート画面だったり。いったい何がつまってんだ?という秘密のオモチャ箱のようなシンセなのです。

こうした徹底的にふざけたシンセを作る社員もふざけてるようで、どんだけふざけてるかは、この社長&社員のライブ演奏動画をごらんください

こちらはスウェーデンのミュージシャン、Swedish House Mafiaの演奏動画。ぶいぶいってますねー。

このOP-1、一言でいえば、計器類(コンソール)のおもしろさが秀逸なのです。男はコンソール見るだけで興奮するからねー。 

ではここで、シンセサイザーの計器類(コンソール)の歴史について習。昔のシンセサイザー(①)は、とにかく音をいじくるには計器類を触るしかなかった。それが回路がデジタル化・高性能化・小型化していくと(②)さらに細かいことが増えて、計器類が複雑になっていきました。

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で、最近ではもっともっと回路が小さく・高性能化していって、ソフト化していって、とうとうiPadのように計器類そのものもモニターの向こう側にいってしまった(③)。たしかに安くて便利にはなったけれど、あの「つまみをいじくる」という感覚が、シンセサイザーから消えてしまったんですね。

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それに対し「OP-1」は、ふたたびあの「つまみをいじくる」感覚を復活させてるんですが、これだけなら、大手メーカーが作っている世間のデジタルシンセサイザーと変わらない。OP-1はなにがおもしろいかというと、「デジタル化・高性能化によって、なんの音でも作れてしまうようなになったシンセサイザーの世界。ではいったい、そんななんでもありになってしまった世界で、あえて限定したデジタルシンセを出すなら、なにをチョイスするか?」という点が絶妙なのです。

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この”チョイス感覚の美学”が、言ってしまえば大手シンセサイザーメーカーではありえない、ふざけた機能の選択を可能とし、奇妙でキュートなシンセを作り上げている。

これって大事だとおもうんですよねー。これからの楽器業界において。ほんと、いろいろと考えさせられるシンセでした。そして、ひさしぶりに「物欲」をかきむしられる、商品でありました。

ほしいいいいいいいいい!


 

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