先週の土曜日、「ヤング@ハート」のコンサートを見にいきました。このアメリカのコーラスグループは、平均年齢がなんと80歳。そして歌う曲が、すべてロック!!
最初、ステージに登場したときは、正直に言うと引きました。たくさんの白髪の老人のみなさんがスポットライトを浴びて歌い踊る光景など、見たことがなかったからです。それはまるで、70年代のSF映画、「ソイレントグリーン」や「未来惑星ザルドス」に出てくるシーンのようでした。
しかし、コンサートが進むにつれ、老人というのも、一種のキャラクターであり、ステージでそれを十分に理解した出演者のみなさんが、それを逆的にとって、歌い、笑わせ、人生の深みを感じさせるパフォーマンスを行うことに、「えらい!うまい!エンターテナー!」と思わず心の中で拍手を送ってしまいました。
出演者の中で、僕がお気に入りのおばあちゃんは、見た目はどうみてもクッキーを焼いてそうな「スプーンおばさん」にしか見えないのに、歌い出したら「あんたら、人生ワイルドでいこうぜ」と、胸をフリフリ、おしりをフリフリ歌っている方でした。たぶん、「わたしもねえ、若いころは、モテたものよー。男なんて10人くらい、アヒルの子のように私についてきたもんだわ。今は足洗ったけどね。」という人だと思います。歌も抜群にうまく、この芸風はぜったい80年生きていないとできません。かっこいい。こんなおばあちゃん、欲しい。
クライマックスは、なぜか日本語でブルーハーツの「リンダリンダ」を歌い、こぶしを突き上げたときです。これがウケないわけがない。ちょっと想像してみてください。たとえば敬老の日のイベントで、たくさんのおじいちゃん、おばあちゃんが、おとなしく日本舞踊とか詩吟とかやってたのに、いきなり「リンダリンダ」を絶叫して踊り始める姿を。会場のお客さんも、巨大カラオケボックス状態で、踊りまくってました。
確実に言えることは、みなさん80歳ぐらいなので、5年先は生きてる可能性が低い、ということ。「死」というものが、すごくリアルに見えているのだと思います。それでも「心がいつまでも
若くいますように」と歌う。いつか消えゆく肉体が老いることと、精神が若くあることは、まったく別物なのだと、思いました。
落ち着いているおじいちゃん、おばあちゃんか?というと、まったくそんなことはない。たぶん、大ケンカしながら、でも歌い続けてるのだと思います。「人間、死ぬ間際まで、落ち着くことなんてない」という事実は、なんだか僕をとても安心させるのでした。