明和電機のライブコンサート。コロナウイルスの影響から「観客を会場の動員する」ことが難しいと判断しました。となれば、「ライブ中止で無観客ライブ」ということになります。 しかし、この言葉がどうもひっかかりました。
まず「中止」という言葉が気に入らない。中止とは英語で「ストップ」です。この言葉を聞いたとたん、頭の中の「創意工夫」もストップしてしまいます。これが大嫌い。他に方法はないのか?「ストップ」ではなく「チェンジ」で行けないのか?
コロナウイルスは、どんどん「変異(チェンジ)」するという戦術を行い、それにより感染を拡大をした。ならば人間側もそれに対抗し、知恵をしぼって現状を「チェンジ」すればいいのではないか?
そして「無観客ライブ」という言葉も気に入らない。無観客でライブをやるって何?お客さんがまったくいない状態でライブをやるのは明和電機で言えば、それは「リハーサル」です。会場にお客さんはいなくても、ネットの向こうにいるではないか。無観客ではけっしてない。
会場にお客さんは来ることはできない。これは現実。でも、現代のテクノロジーや、明和電機ならではの方法を使い、新しいエンターテインメントをお客さんにお届けできないだろうか?
そこでピン!とひらめいたのが、ライブ応援グッズを一曲ごと作り、それをまとめてお客さんに送付し、ライブ配信にあわせてモリアゲてもらうという「モリアゲBOX」でした。
明和電機の本業は「ナンセンスマシーン」という3D(物体)を作ること。ライブ配信という映像表現(2D)だけではおもしろくないので、この3Dのミニチュアをお客さんにも届け、「映像+物体」のエンタメができないか?と思ったのです。2.5Dではなく、3Dです。
3月25日、このプランを発表することにしました。それが「明和電機 緊急会見」でした 。
この会見では、明和電機のライブコンサートを「劇場型」から「自宅型」へと変更し、DVDの収録、モリアゲBOXをそれにあわせて開発し、発送することを発表しました。
■ひたすら量産!
さて、方針はきまったものの、4月12日にライブ配信に間に合わせるためには、遅くとも4月7日には「モリアゲBOX」が完成していないといけません。「モリアゲBOX」を一個作るのではなく、最低でも500個は作る必要があります。本のような印刷物であれば、500個は簡単ですが、今回は「物体」の量産です。
500個か・・。
計算すると、
3月25日~4月1日 設計作業
4月2日 ~4月7日 量産作業
4月8日 発送作業
となります。
曲ごとのアイテムを新しく18種類考える。それを500個量産する。
無理やん。
と思うでしょうが、僕には勝算がありました。明和電機はこの1年間、品川区のアトリエの中だけの工作機械を駆使して量産ができる「マイクロファクトリー計画」を進めていたのでした。
この産物として「ベロミン」「電動ノックマン」や「寿司ビート」「ゴムベースポータブル」などの製品を開発・量産していました。このノウハウをいかせば、「一週間で500個の量産はいける!」と思ったのです。
この「マイクロファクトリー計画」のベースにあるのは、CADによる設計と、レーザーカッターや3Dプリンターといったデジタル工作機の使用といった「デジタルテクノロジー」です。しかし、もっとも大事なのは、量産を行うための「治具」の開発と、無駄をできるだけ減らした設計&制作方法でした。これは人間の「知恵」を使う作業です。デジタルテクノロジーも大事ですが、量産にとっての「キモ」は、この「人間力」です。
明和電機のアトリエでは、こうして怒涛の「モリアゲBOX」の設計と量産作業が始まりました。工員さんと社長が知恵をしぼりまくり、無事に4月7日に500個の量産ができ、発送作業が開始されました。(つづく)
【明和電機ニュース】
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4月11日、12日に品川区のひらつかホールで開催予定の明和電機主催「明和電機事業報告ショー2020」「明和電機ライブ2020 BEHIND THE MASK」「ヒゲ博士とナンセン☆スマシーン」 は、内容を変更し、YOUTUBEにて無料配信することを決定いたしました。
「明和電機ライブ2020 BEHIND THE MASK」 4月11日(土)17:00-
「ヒゲ博士とナンセンスマシーン」 4月12日(日)16:00-
「明和電機事業報告ショー2020」 4月12日(土)20:00-