ただいま春に出版予定の「ナンセンス脳とスケッチ」の追い込み作業中です。ひさびさの明和電機の本なので気合が入ります。
これまで明和電機では、大手出版社さんから5冊、自費出版で4冊の本を出版してきました。今回はそれらの経験をふまえて、ちょっと実験的な出版のプロセスをやってみました。
もともと「ナンセンス脳とスケッチ」の出発点は「①WEB連載」でした。昨年、半年ほどMSNのドニッチに連載していた「明和電機のナンセンス発想術」でした。
この連載をベースによしもと出版さんから本を出しましょうという企画がたちあがりました。そこでひらめいたのが、正式に出版する前に「②β版」を作って見ようというアイデアでした。それも同人誌で。
今回の本の内容が、「スケッチによる社長のアイデア発想をみなささんに体験していただく」というもの。これまでの明和電機本はすべて「聞けええ!オレの話!」という、社長の自己主張のかたまりみたいな本ばかりだったんですが、今回は「みなさんがツールとして使えるかどうか?」というまるでプロダクトのような本でした。
「はたして僕が言ってることがみなさんに伝わってるのだろうか?」ということをまずは検証してみたいと思い、同人誌印刷で有名な「緑陽社」さんに原稿を持ち込み、200部限定の自費出版を作り、イベントとネット通販で販売しました。巻頭で「ぜひみなさん、校正や御感想をご連絡ください!」という文を載せました。
この経験ですごくおもしろかったのは、本の出版がものすごく簡単に行えるということ。緑陽社さんのようにプロフェッショナルな同人誌印刷の会社に持ち込めば、ワードで作った原稿でしたが、一週間ほどで立派な本が送られてきます。価格も高くありません。
また、本をネットで販売するとき「PAYPAL」初めて使ったんですが、え!って驚くほどカード決済のシステムが個人でも簡単に作れました。カード会社やショッピングカートのサービスを自分で一から作るとなりと大変なコストと時間がかかりますが、PAYPALだと15分もあれば、購入ボタンが作れました。手数料も安い。イベントでの手売りもふくめ、制作した200部はあっという間に売れました。
そしてもうひとつの実験が「③電子出版」での販売。日本にもたくさんの電子出版のサイト(そしてたくさんのフォーマット!)がありますが、明和の電子本を買う方はすでに明和電機の情報にアンテナを張ってる方なので「直接PDFでいいんじゃない?」と思いました。そこで思いついたのが今年の2月に日本でサービスが始まった「Gumroad」。ネットでの情報データの販売をものすごく簡単に行うサービスです。これを使って販売を行いました。
こうしたβ版の出版から、現在、40通ほどの感想や校正をいただきました。これが本当に目からうろこの連続です。自分がわかりやすく伝えたつもりが、まったく相手を混乱させていたり。根源的な問題点を突かれたり・・・
たとえば、僕は自分の愛用のペンを使わないとスケッチでアイデアが出てこないのですが、それを「赤ちゃんのお尻に綿棒をつっこんで、ウンチを引っ張り出す感じ」って表現したんですね。ところがこれにたくさんの方から「社長、まったく共感できません!」という意見を頂きました。なるほどです。たしかにそれに共感できるのは子育て経験があり、かつ赤ちゃんが便秘ぎみだったお母さん(そして一部のお父さん)だけなのです。
また、スケッチを描くことを大前提した発想法なんですが、「そもそもスケッチを描くことがにがてです。どうしましょう」という意見には、足元からすくわれる思いがしました。たしかにそうです。
こうした意見を徹底的に取り入れ、在、「④正式版」の執筆中です。β版とはかなり構成もかわり、記事も増やしました。こんな実験的なプロセスができるようになったのも、ツイッターやPAYPAL、データ入稿の同人誌印刷など、テクノロジーの進歩のおかげだなあ・・・感慨にふけっております。
ナンセンス脳とスケッチβ版の御感想の〆切は5月15日(火)。
御感想をいただいた方のお名前またはハンドル名を、正式版の謝辞に掲載させていただきます。ご興味のある方はGumroadのPDF版へ。
ナンセンス脳とスケッチβ版(PDF)
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