ここ何日か、12月にCUBEさんから発売する、新しい楽器オモチャの原型を作っています。「え?12月に発売するものをこんな早い時期に?」と思う方もいるかもしれませんが、オモチャのような大量生産モノは、完成までにほぼ一年かかります。むしろスケジュール的には遅れてるぐらい・・・・急げ!
で、毎日、せこせこと作ってるんですが、材料は何かといいますと「木」です。人によっては樹脂粘土やプラスチックを使う人がいますが、僕はここんところ「木」がしっくりくるので使ってます。
木といって、いわゆる合板です。シナベニヤっていう合板。これを積層してバンドソー(回転ノコギリね)で切り出し、ベルトサンダーで荒削りして、あとはカッターナイフややすりを使ってひたすら形を追い込んでい行きます。
「どんな形にするか?」というのは、あらかじめスケッチを描いてイメージをかためておきますが、やっぱり実際はスケッチにとらわれずに手で確かめな柄削っていきます。
表面の仕上げは、木工パテが好きです。アルコールなどの溶剤で溶いたトロトロのパテを表面に塗って、乾かし、研磨します。これをひたすら繰り返す。ひな人形では”胡粉”を表面仕上げに使いますが、それにちょっと近いですね。木工パテはヒートガンなどで乾かすとあっという間に乾いて固まるので便利です。プラモデルで使うようなパテだと硬化までにどうしても時間がかかります。それが、僕はどうしても待ちきれない。短気の方には木工パテはおすすめ!
これは2年まに作ってたオタマトーンの木型原型。シッポのあたりが、まだ研磨してませんね。この原型が、いきなりオモチャの形になるわけではなくて、これをもとに、CADで量産用のデータを作り、検証し、OKならば金型制作に移ります。
この木型原型を作る作業は、ひたすら木を削るので、ものすごく原始的です。自分でも作業をしながら、「ああ、自分の先祖はこけしとかの民芸職人かもしれん・・・」と思う時があります。もちろん中に機構を考える部分は電気とかメカの知識がいりますが、この外側を作る作業は、ほんと、一万年前の人類もやってた方法です。
最近は、オモチャでもいきなりCADを使って、コンピューターの中で原型をつくったりします
が、どうしてもそれが苦手です。やっぱりオモチャって、手の中で愛でるものだし、なにより、自分の手で木を削って、肉体で形をたしかめながら作ったラインというのは、形のエロさが違うんですね。
自分の手の中で納得するまでひたすら削り続ける作業は、快楽主義者じゃないとできないだろうな・・・と思います。ちょっと伝えにくいですが、形を手で見つけ出すという作業は、快楽なのです。たぶんみなさんも、小さい時、土でダンゴをひたすら作った記憶ないですか?あれにちょっと似てる。球体ではないけど、やっぱり漠然とした「こういう形がいい!」というゴールがあって、それにむけてひたすら削る、磨く、わけです。それが快感。
こういう作業をやってるときって、心がすごくシンプルになってる。人生、すべてこんな感じでシンプルだといいなあ・・・と思います。