木内昇さん、直木賞受賞!

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明和電機の「魚コードのできるまで」などでお世話になっている木内さんが、直木賞を受賞されました。めでたい!

今年のお正月に、恒例の「カニ鍋パーティー」でお会いしたときに、「直木賞候補になりました」ということをお聞きし、「だったら、本当に直木賞とったら、明和電機の制服着て、受賞パーティーにいきますよお」と宣言したんですが・・・本当にとったんですね。

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で、会場となった東京會館に行きました。青い制服を着て。したらば、会場が黒い黒い。みーんなスーツ。あたりまえか。大丈夫なのか、入れてもらえるのか?と心配になりましたが、受付で「明和電機 土佐信道」と記帳したら入れました。ほ。

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木内さんはさすが今回の主役なので、取材陣や関係者に囲まれて大賑わい。そこにわけいって入り、「男なら一度はあがりたい受賞ステージ」に勝手にあがって、木内さんと記念撮影をしてもらいました。ほんと、すいません!おかげで芥川賞とった気分にひたれました!

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受賞作の「漂砂のうたう」は、江戸から明治になり、ガラガラとかつての価値観が崩れていく時代における古き伝統の世界=遊郭の物語。花魁好きな僕のど真ん中。一気に読めました。おもしろかった!

木内さんの描く人物像はとても透明で冷たい。この感覚は、かつて編集をされていた雑誌「Spotting」を読んだときにも感じていました。ひさしぶりにその雑誌をめくると、なんだか将来の小説を書くためのエスキースのように、人物たちが取材されていました。

雑誌の木内さんのコラムで、「高校時代、太宰の人間失格を読んだとき、笑ってしまった」といのがありました。あまりにも純粋に生きることについて悩んでいる人は滑稽に見えると。これは僕も共感することです。

「ハサミ」で例えると、ハサミが何であるかは、切ってみて初めてわかる。キレ味とか、重心とか。生きることに悩みすぎる、というには、ハサミでモノを切らず「ハサミって何?」について考えること。それはちょっと滑稽。

「漂砂のうたう」には、時代が激変して、かつての価値観が通用しなくて苦しむ人がたくさん登場するが、全員が「お職」というものを持ち、働いている。ハサミを使っている。人がなにものかになる、ということは、職に誠実に向かうことからにじみでてくる。そこに対する静かな目が、小説全体に透明感を出している。木内さんがかつて「東京の仕事場」という、クリエーターのみなさんの作業場を取材した本を出版されたときにも、同じように思いました。

もひとつ感想。木内さんは男性を描くのがうまい。よくまあ、こんなに男心がわかるなあ、よっぽど男性を観察してきたんだろうなあ・・と推測してしまう。登場する男性陣はどれも魅力的。もしやこれは、木内さんしか書けない、世界で唯一のボーイズラブ小説なのではないかと、最後のページを閉じて思いました。


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