YOUTUBEの、今年のオモシロ映像を決定する
「YOUTUBE VIDEOAWARDS 2009」の音楽部門に、オタマトーンの動画が
ノミネートされました!わーい!
ほかのノミネート作品も、面白いものばかり。
どこか素人っぽさとか、荒削りさとかあって、
YOUTUBE独特の生々しいオモシロさがあります。
このオモシロさについて、ちょっと考えてみた。
のっけからたとえ話になりますが、、「ミックスジュース」と、「ストロー」と、「少年」を
それぞれ 「芸術」「メディア」「観客」だとします。
ミックスジュースをほっとくと、上の方が「すんだジュース」になって、
したほうは果物のカスとかも混じった「にごったジュース」になります。
上の方の「すんだジュース」は、ハイカルチャーな芸術、
下の方の「にごったジュース」はローカルチャーな芸術だとします。
ハイカルチャーな芸術は、「A級」なので、ART。
ローカルチャーな芸術は「B級」なのでBRT、と呼ぶことにします。
むかしむかし、メディアというものが発達していなかった時代。
高価なストローは、王様のもの。
そしてそれはとても短かった。
だから、上の方の「すんだジュース」、
つまり 「ART=ハイカルチャーな
芸術」 しか飲めなかった。(つーか、飲まなかった)
一番古いストローは、たとえば「教会」。
王様が飲んだ ART のおこぼれを、庶民はいただいてました。
しかし複製技術が発達し、安価に大量伝達ができるようになると、
ストローの長さはどんどん伸びました。
そしていままで、飲むことができなかった、
ローカルチャーな芸術=BRT も、コストをかけずに飲めるように
なりました。
これがね。飲んでみたら、「すんだジュース」とちがう、別なうまさがあったんです。
これまで、芸術をハイカルチャーとローカルチャーにわけて
説明してきましたが、間違ってはいけないのが、
「ハイ、ロー」という区別と、「おもしろい、おもしろくない」は、別であるということです。
話がちょっと飛びますが、パリに「書簡美術館」というのがあります。
ここには、歴史上の有名人のメモ書きがたくさん展示してあります。
デカルトとか、アインシュタインとか。
それらのメモは、いわばゴミなわけです。
「今日は八百屋にいって、トマトを買った」
みたいなことが書いてあるだけですから。
Brtです、Brt。ローカルチャー。
だけど、見てると面白いんですねー。
その人の人格が滲み出してるというか、なまなましいというか。
たまたまデカルトがえらかったから、そのゴミを保管するための膨大なコストを、
フランス市民が税金で立て替えただけのこと。
もし、そのコストがぐん!と下がれば、一般市民のゴミ(=Brt)だって保管できる。
そしてその中には、面白いものを含まれている。
そういう現象が、ブログや、フリッカーでおきているわけです。
そしてそこには、これまで吸い上げることができなかった、
膨大な量の芸術資源(ただしBrt)が埋まっているわけです。
インターネットの登場、デジタルメディアの価格低下、通信技術の高速化など、
技術進歩は、どんどんストローを長く、太く、そして大量に生み出していくでしょう。
YOUTUBEのような、あたらしいメディアは、まさしく「あなたのストロー」として、
そうしたBrtを掘り出してくれると思います。
この現象のことを、プロフェッショナルな芸術家もよくよく考えなければならない。
手前味噌ですが、「NOVMICHI SKETCHBOOK」という、僕のスケッチを公開・販売
するサイトを作ったのは、そんな思いからです。
むかしだったら、ストローがないから、これらのスケッチ、公開できませんでしたから。