映画「タンポポ」を久しぶりにみた。
ラーメン作りがものすごく下手なラーメン屋の未亡人を、
アウトローな男5人がしごいて、行列ができるラーメン屋に仕上げる、という、
「しょうゆ味のマイフェアレディ」な映画だ。
おもしろい。筋がほんと、うまい。
しかーし!
このラストシーンで、宮本信子が到達するラーメン屋のイメージが、
実に「まずそうなラーメン屋」なのである。
その根本的な原因は、「母性原理が強すぎるのラーメン屋」
になってるからなのである。(上図)
まるで、「すてきな主婦の、すてきなキッチン」みたいな場所で、
清潔感あふれる宮本信子が、笑顔でラーメン作り。
「玄米ごはんと、豆腐ハンバーグ」ならいい。
そのシチュエーションなら。
でも、ラーメンはいかんだろう!!
ラーメンを食べる場所はやっぱり、
「鬼軍曹が見守る中、3分以内に、
バラバラのライフル銃の部品を組み立てること。
できなければ、独房」
みたいな、
「闘争本能と、マニアックなオタク心と、タイムリミットが混じった、
緊張感あふれる場所」
でなければ、いかんような気がする。
それは「父性原理」に基づく、「食べる人よりも作る人のエゴが勝る場所」
でなければならない。
だいたい、ラーメンって、ぜったい体によくない。
脂っこいし、炭水化物とたんぱく質と塩分ばっかりだし。
それをわかってて食べる。
それは、修行である。断食の反対。
今の世の中、父性原理が行き詰って、エコだ、ロハスだ、情報だ、感性だ、と
母性原理が強くなってきている。
そんな社会の中で、ラーメン屋は、男たちが闘争本能を消化できる、
「どんぶりサイズのコロシアム」なのだと思う。
だから、そこに 「おかあちゃんな宮本信子」がいては、いけないのである。