土佐信道大学時代作品展 1987-1990 in MMM
土佐信道大学時代作品展 1987-1990
自分の中にある不可解なイメージを絵に描いて自分の外に出してみる。それまでこの世界に存在しなかったものが自分の目の前にある。それが楽しくて、嬉しくて、僕は小さい頃から絵を描くのが好きだった。そうやって描いた絵を人に見せると、びっくりしたり、感心したりする顔があった。悪戯心に似た優越感があって、それも好きだった。小さい頃は、こうやって絵を描いて生きていけたらいいなぁ、と漠然と思っていた。「大きくなったらなんになりたい?」と聞かれたら、絵描き、と即答した。
自分の中の不可解の客体化、そしてそれを見せることでの人々の驚きの顔。それを職業とするならば、それは芸術家以外になかった。芸術家になるという夢は、小さい頃から今現在も続いている僕の中の明確な軸だ。
音楽も大好きだったし、特に中学生の頃から打楽器とコンピューターミュージックにはまっていた。でも絵描きになりたいと夢は変わらず、芸術系の大学に進んだ。そこで作り上げた芸術作品をもとに、明和電機という活動を1993年、25歳の時に始めた。
この明和電機は、僕の芸術人生の起爆点だった。この起爆点の前と後ろでは、自分の芸術作品に対する意識が全く違う。明和電機をスタートさせる直前に自分の中で起きた、表現すること、見せることに対する厳密性が、とても強い確信である「明和電機」と言うスタイルを生み出した。この強い確信は、その後の27年も続いており、いかにそれが自分にとって大きな出来事であったかというのがよく分かる。
あの起爆点は、なぜ起きたのだろうか。そもそも起爆点とはなんだったんだろうか。五十歳を過ぎた僕は、あの時の自分を、考古学者のように憧憬と冷静さで眺められるようになった。
明和電機マイクロミュージアムの連続企画として、明和電機という起爆点以前の自分が作った作品群を陳列し、再考していこうと思う。第1回企画の「淋しい熱帯魚展」では、そのまさに起爆点のアクションであるアートアーティストオーディションのドキュメントを紹介した。
第2回企画展では、ぐっと時間をさかのぼって、大学1年生から4年生までの4年間に作った作品を展示する。漠然と芸術家になりたいと思っていた自分が、機械加工に出会うことで、自分の中の不可解なイメージについて機械論的分析を行って形にしていく。その試行錯誤していくプロセスがその中にはある。
その集大成として大学の4年生の卒業制作で作った妊婦のロボットは、それまでの自分の芸術家になりたいという夢の集大成であった。しかしその到達地点は、芸術家として生きる人生の道の門が開いたと同時に、その道を歩むための芸術表現という糧をまったく持っていないことを自覚したことでもあった。この展示では、そうしたプロセスをいただけたらと思う。
「土佐信道大学時代作品展 1987-1990」 ■とき
12月5日(土)~12月28日(月)
13:00-19:00 (火曜日は定休日)
■場所
明和電機マイクロミュージアム (略してMMM)
秋葉原ラジオデパート2F
入場料
1000円 (プラチナ会員の方は500円)
こちらの美術館は、お一人様づつの入場、30分入れ替え制です。また、展覧会の内容について、SNSへの公開はお控えください。
【MMMプラチナ会員について】
MMMアクリルキーホールダー(プラチナバージョン)をご購入いただくと、プラチナ会員として、一年間明和電機マイクロミュージアムの入場料が500円になります。アクリルキーホルダーには、お名前、開始日時、明和電機の直筆サインがはいっています。
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